疑惑の音
私が後ろにいることを感じているあなたの背後から忍び寄り、
乳房の下から手を滑り込ませてその心臓を掴み、
ぎゅうぎゅうと絞って、
あなたの芯に染み込んでいる私の量を確かめたくなる
誰の目からも逃れた不道徳に、良識は吐息となって空間を埋め、
人前で背けたはずの視線が交わる時に、官能の火花が部屋を彩る
もうお互いに逆らえない
この気持ちを抑えたら、失わずに済むものが沢山あるのに、
先走り過ぎて止める感情すら役に立たない
一瞬でいいから、同じ時を生きて欲しい
染み込んだ私の最後の一滴が落ちる時、
声を出したのは私だろうか?あなただろうか?
それとも重ね合わせた唇だろうか?