右手の人差し指、これがお前だ。
ひどくありふれた矮小で醜い命だが、
確かに存在し、その裏腹に鮮明で美しくもある。
そして左手の人差し指、これが世界だ。
恐ろしく不安定で、消えそうな悲鳴の柱で支えられているが、
有名無名の希望に満ち溢れている。
この二つがくっ付いて一体となり、
お前と世界の時間を作っているのだ。
ここから多様な悲劇や、喜劇が産み出されていく。
この二つは強く結び付き、互いを疑わないまま、契約を終え
いつかは離れてしまうのだ。
そうだ、この離れた空間の間に間に、死が漂っている。
だが右手は離れただけで、お前はそこに存在していて、
左手も離れただけで、その世界はあり続けている
そしてまた時が来れば、右手のお前はまた違う手の形をして、
違う手の形をした、左手という世界とくっ付いて一体となり、
前とは違ったお前と世界は、また時を過ごすのだ。
ただ一つではない宇宙の中で、お前という存在は成立し、
星のようにガスの赤子から、ふくよかな愛の彗星にも変化する
その神がかった愛をなびかせるお前の消しあとを、
皆が賛美し、祈りを捧げていることなんて、
知らないままで、生きて死んでを繰り返す