憎しみの器

私はあなたにずっと待っていて欲しかった

いつまでもあなたを私のものにしておきたかった

 

遠い空を眺めてはあなたとの時間を思い出し、

すれ違う美しい人にはあなたを重ねて旅を続けた

 

行く先々であなたへの土産物を仕入れては心を踊らせ、

あなたへの思いを詩に認めながら、

再び出会った時のあなたの顔を思い描き、

戻る日を子供のように心待ちにしていた

 

そして、抱えきれないほどの土産話と土産物を持って戻った時には、

あなたはもうどこにもいなかった

 

私をいつも認めてくれ、

おおらかな安らぎで受け入れてくれた

あなたはどこにもいなかった

 

方々を探してやっと見つけたあなたには、

私ではない大切な人と暮らしていた

 

そうだ、私は遅すぎたのだ

ずっと待っていて欲しかったが

私は遅すぎたのだ

 

しかし、優しいあなたは一言も言わなかった、

私を罵らず責めることもなかった

 

あなたが私を憎んで罵り責めたなら、

私はあなたの手を取って無理にでも連れ去っただろう、

だが、優しいあなたは私を許し、おおらかな心で見守ってくれた

またあなたは私の過ちを受け入れてくれた

 

あなたに見合う人であるよう、

最後くらいは跡を濁さず、

あなたの幸せだけを願い、

言葉にはせずに消え去ろう

 

忘れることのない最愛の人よ

私はやはり、あなたに心を奪われている

私の心はいつもあなたに戻っていく