ブランコに乗れない大人たち

ドライフルーツをバーボンに浸して、

戻して食べるようなあんたの性癖が、

俺の恥じらいを拭き取るハンカチだった

 

拭っても取れないそれが、

結局はハンカチの汚れなんだと気付く頃には、

まんまとあんたに落とされたカウントダウンの一人だったよ

 

いつの世代にもある、懐かしのリクエストみたいに普遍的な、

誰もが十代で発症する恥じらいの鎖は、

心と体を縛るためじゃなく、そういう様式美なんだ。

 

あんたが他人の恋人にならないように欲しがって前に出れば、

スローモーションで震えるゼリーみたいにかわされて、

情けない顔で後ろに下がれば、出会った日から心臓に焼き付いてる、

ワールドレコードクラスの微笑みが追っ掛けてくる

 

恋人の距離感、友達の距離感、距離のクセに測れないそいつを、

恋とか友情だとか呼ぶにはまだ、二人の長い夜の記録が不足している

 

あんたというレコードの溝に、

俺という針を落として何が流れるか試してみたら、

答えなんてシンプルなのにな