完璧な夜明け前

青黒かった水平線が微かに白み、

眠っていた町の鼓動が一つ早くなった。

窓から遠くに見える、岬の先端にすら秋の訪れを感じる、

少し肌寒い、完璧な夜明け前。

 

ただ、あなたが居ないことを除いて、完璧な夜明け前だ。

 

一人で居ることに、やっと慣れたのに、

あなたが居ない寂しさが、眩しいライトの光のように責め立ててくる。

落ち着いた色に塗り潰してやりたいけど、いつかその色にも慣れたなら、

今度は落ち着いた色に寂しさを覚えるのだろう。

 

ああ、このやりきれなさを言葉にできたなら、

色付く枝葉が季節を乗り越えて、空に伸びていくように、

無くしたものに手を伸ばし、帰ってこいと叫べただろう。

 

それが出来るんなら、一人に慣れるような生活なんて、

耐えることさえなかろうに。

 

ああ、そうか、あなたが居ないからこそ、

これは完璧な夜明け前なんだ。