サヨナラの代わりに

心が痛くなるほどの冷たい風が、

思い出の声さえかき消して、

過去も未来も迷う街角は、

やりきれなさで強く目を閉じる。

 

あの時、振り向いた顔に書いてあったのが、

言葉だったのか、涙だったのか、

記憶の前にあるフィルムに悲しい色が付いてしまって、

分からないんだ。

 

冒頭のキラキラ輝いていたシーンから、

白黒の空みたくうつ向いたままのエピローグにいくまでに、

やり直せたはずの分岐が幾つかあったはずだけど。

 

その手を強く結ぶような思い込みが、

優しかったその姿を見たのを、

思い出せないような終わりにしたんだろう。

 

あぁ、散りゆく葉に「恋」って名前を付けて

サヨナラの代わりにしてもいいけど。

そんなお洒落な結末なんて

俺たち望んでいたのかな?