同人恋愛小説家
「俺はSランクギルド「飛竜」に所属している」って書き出しの
異世界転生小説を「ん?ん?」って顔で聞かれてから、
書くのなんてすぐ辞めた。
異世界に転生するくだりも書かずにやめた。
「人間はなぜスマホとかいう四角い箱をいつも覗いているのだ」
から始まる、人間を客観視した奇想天外小説も
冒頭の「んん~?」って口以外から漏れているレビューで、放り投げた。
自分を客観視してはどうか?みたいな目でこっちを見るな。
そんなことが出来るなら小説なんて書いてない。
「俺はどこにでもいる平凡な高校一年生、
だが幼馴染みのあいつは学園一年のマドンナで
誰もが憧れるアイドルだ」って、
俺なら必ずチェックするダサ男が
めちゃくちゃカワイイ子に愛されるハーレムドラマの書き出しなんて、
もう聞く耳すら持ってなさそうだ。
平凡なのはお前だろ?って背中で語らないでくれ。
家族をなきものにされ、妹も鬼にされた男が、
山賊と出会い山賊王になろうと冒険の旅に出て、
幼馴染みの愛と勇気だけが友達な、
葛飾区のお巡りさんの話し
なら聞いてくれそうな感触だけど、
社会のルールや仁義に反していて、
なんぼ書いたって世に出ることは叶わない。
だから、結局、いつもの小汚いテーブルの端っこで、
君への下手のヨコ好きなラブレターを書いている、
俺は君専属の恋愛小説家。
あぁ、小説よりもラブレターの方が書くのが大変で、
とっても恥ずかしいなぁって思いました。まぁる。