寂しさに息を止めて

底冷えが酷くて寒くて、どうしようもないほど心が辛い。

そんくらい冷たい真夜中に、

理由のない寂しさや悲しみが、

大人になると不意にやって来る。

 

小さい頃なら理由があって悲しくて、

両親にすがりついて眠れたのに、

もう、あの頃の親の年齢も追い抜いた中年の真夜中は、

息が止まるほど寂しい。

 

だから、電話をすることもあるけど、

どうか、切らないておくれよ。

 

堪らなく寂しいだけで、

あの頃には戻れないなんて分かってるから、

切らないでくれ。

 

誰かの声が聞きたいんだ、AIだっていい。

自分以外の考えに触れたいんだ。

 

あぁ、あんなに早く大人に成りたかったのに、

こんなのじゃないから代えてくれって、誰かに頼めたら。

 

そして、もし叶えてくれたなら。

 

俺は一体どんな悲しみを背負って、この夜を超えるんだろう?

 

あぁ、そうか、不意にやって来るのは、

俺が知ることの無かった悲しみだったんだな。