狂い咲き

季節がペンキを塗り忘れた、花のついていないツツジを見ると、

来年もツツジが咲いたら一緒に見に行くって約束を思い出す。

 

俺は花なんて興味もないし、話の種にもならなかったけど、

色やら季節やら教えてもらって、この時期にはあの花が咲いている、

なんて聞く度に、自分でも知ってる気になったんだ

 

だから、一緒にツツジ祭りに行ったり、

ツツジフェスタで思い出を写真に収めたり、

ツツジパークでプライベート品評会もやった

 

過ぎた時間を懐かしむなんて、

素晴らしい思い出にしかしないもので、

確かにあの時は余るほど幸せを感じていて、

他愛ない生活がずっと続いて欲しかった

 

そうだ、一緒に見たあのツツジにもう一度花が咲いたなら、

また一緒に過ごせる気がするけど、

いなくなったあんたのように、

もう二度とあの花も生活も色づくことはないんだ

 

あぁ、そうか。

あのツツジに花がつかないのは。

あんたを今でも待っている俺の心の中に、

ずっと花が咲いているからなんだな。