「千年舞台」

もうすぐ幕が上がる、

じっとして待ち続けている膝が

ストライプの光をばらまきながら捩れて歌う

よほど飽きているのか観客はもう息をしていない

忌の際のずっと以前から始まった陽気な歌に合わせて、

死ぬためか生きるために有ったか分からない彼ら彼女らの名前が揺れている

 

十字架の気分とは正にこうだろう、

敬虔な祈りも讃美歌も雑草に過ぎず、高みから余裕で見下げる。

いや、見下げない。

気にもしないし目にも入らない、

なぜなら俺は完璧なサイズの十字架だから

 

骸骨になるまで守り続けた貞操も、

全ての犠牲を販売員のように引き受けた英雄達も、

十字架の御前では無に等しい。

なぜなら俺は完璧なサイズの十字架だから

 

あぁ今からクライマックスのことを思うと体中の血管が絶叫して

吹き出しそうだ、

ダムンダムンと目の奥が爆発して、つむじから臍から股間から爪先まで釣り上げられた魚のようにビチビチ、ビキビキ、跳ね上がる

(この舞台は大漁でしたか?)

 

紳士淑女の皆様、大変お待たせしました!

芸術の日の出です!デカダンスの夕べです!

ルネッサンスレジスタンス!

銃撃の涙でこさえた弾丸を、

その空っぽの額や腹から存分に味わって下さい!

 

始まりでも終わりでもある紹介を聞いて、ふと可笑しな感覚に見舞われる

待っていたのか? 演じていたのか?? どっちなんだ???

与えていたのか? 興じていたのか?? 何をしていたんだ???

 

じっとして待ち侘びていた間に、期待と恐怖と人間への親和から自分にそっくりな亡霊を見つけ、うっかり受け答えてしまったばかりに、

それはお前に巣食ってしまった、

迷いの恋慕を持ち優しい言葉のツルギを抱えた主人公、

トワに演じて奏でて満足したら良い、

なんたってお前は完璧なサイズの十字架なんだから