言葉

わずかな誓い

ベイビー、ハッキリ言って俺は、あんたのオヤジが嫌いじゃない。 ハゲてデブでオヤジギャグが酷くても、 この街一番のシンデレラを必死に育てた男だと思えば、 ハゲ頭も苦労が滲む俳優の渋みになり、 突き出たお腹もフェラーリのフォルムに変わる。 何より何…

最後のサヨナラ

冬の間に何日かだけある、 晴れ渡って雲のない空を見ながら、 心を解放してやれる緩やかな散歩に、 冷たい風が運んでくるのは ノスタルジックで甘苦い邂逅だろう そうだよベイビー、あんたと交わした 「最後のサヨナラは俺がする」って約束を、 今、思い出して…

最優秀ノミネート生涯の記憶

女の子はイタズラ子猫ちゃんタイプか、 人懐っこい子犬ちゃんタイプのどちらもイケる動物愛護延長派な俺と、 「猫派とか犬派とかバカらしい、私は人間だから」という、 人間味のないあんたが上手くいくなんて、 ルーブルに住み込みで働いてるモナリザも、 薄ら…

上手なジョークを言うジョーズ

「君って笑いのセンスあるよね」 ってイケメンから言われた時、ほんの一瞬あんたが見せた、 獲物を追い込んでも絶対に手を抜かずにヤりきる、 ジョーズみたいな目を見てから、 俺とあんたの距離は一気に縮まった 分かってる、あのイケメンは死ぬほどつまんない…

ファーストキスはレモンの味

近所の綺麗なお姉さんから耳元で教えてもらう 「ファーストキスはレモンの味がするんだよ」 に勝てる上級魔法は、そんなにない 今でも思い出すだけで俺の頼りないライフは全快する むっちゃ気になっている子からの 「今日、家に誰も居ないんだー」や 「絶対に何も…

古き良き勇者

テレビゲームでお馴染みの 「伝説の剣が抜けた跡まんじゅう」が売られていて、 俺のいやらしいことをするためにある手に相応しくない、 神々しい剣が握らされているとこを遠慮がちに考慮しても、 ここは夢の中だ。と思う。 だから魔王的な不審者が、 あの有…

最後の気持ち

最後の最後で「あなたの気持ちが分からない」なんて、 同じ気持ちになるくらいだから、 本当は俺たち合ってたのかもな どっちがどれだけ悪かったなんて批判してもさ、 批判される方も、する方だって、 それなりに考えがあったんだろうけど、 人の気持ちなんて…

深淵を覗く者

俺が小さい頃からの無邪気な尊敬を、 そして大きくなるにつれて自らの経験からくる畏怖を、 カードダスのように簡単に集める近所の兄ちゃんがいる。 もう俺がイイ年だから、兄ちゃんはもっとイイ年な訳だけど、 ハゲ、デブ、ワープアのロイヤル、ストレート…

お手紙のお約束

分数のことを 「数字が肩車してるやつ?」って聞くくらいだから、 小学生の時に算数とは疎遠になったみたいだね。 お日さまの昇る方向が分からないんだから、 沈む方も分からないんだろうと思ってたけど 「海の方!」って、イメージを大きな声で答えられるのは …

JFK

俺はずっとイケメンになりたかった 毎日、毎日、お星さまにお祈りしていたから、 夜空の端から端までのお星さまに住んでる、 ほとんどの奴らが知ってると思う 今思うとあのキラキラとした輝きは 俺の気持ちに寄り添った「きっと叶うよ」 じゃなく、傍観者とし…

アメリカを顎で使う女

なんでそんな顔をしてるんだよ その恵まれたルックスと洗練されたファッションセンスで、 もっと皆からチヤホヤされるんだろ? もっともっと注目されて、 ハリウッドがアメリカをアゴで使っていた時代の、 トップスターになるんだろ? なんでそんな顔をして…

中間人間テスト

人間の一生を学期に例えるなら 最初のテストは生まれたとこだ、誰でも受かる。 受けたら合格、おめでとう。 最後に待つのは期末人間テストだ これまでの実績でテストを受けずに 面接だけで天国と地獄に行く猛者がいる 半端な行いをテストで挽回するしゃかり…

Ha Ha Ha

忘れたはずなのに迷い出てくる幻想は、 体のどこかに種も仕掛けもあるはずなんだ そうやって、もう会ってない時間の方が長いのに、 また、俺の体にあんたを探す 頭の中にいるのは、 梅雨時の林に忘れ去られたエロ本のようにボヤけた女で、 あんたかどうか疑…

笑い泣き

一人じゃ大きめだったテーブルを、 いつの間にか完全に二人用にした食卓に、 朝のぼやけた光が差し込んで、 時間の都合で全然ふっくらしてないホットケーキを食べる。 あの、いつもの狭苦しいキッチン。 ホットケーキに目玉焼きと牛乳って、 考えたようで考…

その手を握って

ハンデ、というものがある。 イケメンで足が臭い奴、全然、ハンデにならない その臭いに釣られる女だって、広い世の中にはいるだろう。 金持ちでハゲツルピッカーマン これもまたハンデにならない、 金さえあれば何とでもなる女なんて、狭い世の中にもいるだ…

悪魔的小悪魔

全く何も分かってない 青空の下でウェディングマーチを合唱する 擬人化のカエルくらい何にも分かってない。 そんなんだから、 体という履歴書に書いたチャーミングポイントである、 鼻の下のエロボクロを甥っ子にナイナイされそうになるんだよ もし俺が翼の…

肌色の太陽

分かるよベイビー、おれだって憧れるもの 「昨日は他人、今日は恋人」だなんて、 お口の恋人ってフレーズよりも、 キング、オブ、ミラクルだ そうだ、偶然なんだろ? そのお互いの大事な肌色の部分が触れあってるのも、 ちょっとした弾みだろ? 親戚のおばさん…

バンジーを飛べない君へ

俺は最近、勇気について考えるんだけど、 心の強さなら俺たちの愉快な仲間、 飛べないバンジー野郎、お前の出番だ 忘れもしない小3の時、 皆の秘密基地にあった一番高い木から、 急にバンジーをやるって言い張って、 結局は飛べずに泣いたまま、 仲間うちの…

GF&DS

俺たちのクラスの流行語グッファ、デュクシーン を発明したのはお前だと、 俺はここに宣言する。 広めたのは違う奴かもしれないし、 自分が考えたと手を上げたのも違う奴だが、 発明したのは絶対にお前なんだ 俺はあの言葉が生まれた瞬間に立ち会ってるんだ…

太陽童貞

俺がこの世をクソだと思う理由なんて、 世界一有名なネズミが「やあ!みんな僕だよ」って 自己紹介した回数くらいあるんだ。 そして、毎日毎日、雨だの雪だの竜巻だの、 もういい加減に晴れ、そしてそよ風で一生回ってくれよ いちいち天気なんかに合わせてられ…

ロジカルチャンピヨン

ロジカルな説明でピアスの穴が開けられるくらい、 ロジカル大好きっ子のあんたが言う、 胸のモヤモヤについてだけと、 それはただの消化不良って言うんだよ。 説明のつかない気持ちとか良く使ってくるけどね、 今、俺に話してるのって何なの? テレパシーな…

バンチョーが教えてくれたこと

俺は「一人っ子だから」ってメジャーな理由で、 バンチョーって名前の犬を飼ってもらったけど、 色んなことをバンチョーから教えてもらった まず犬の口は臭い バンチョーが毎朝、俺の顔をなめ回すから、 俺はちゃんと顔を洗うようになった 次に犬はアホだ バン…

時間を無駄にしてやろう

仕事や生活で「なんて言ったらいいか分からなくなったら、 一言でいい「元気?」って、 メールしてこいよベイビー そしたら俺は、チーズたっぷりデブ用のピザと、 いつもは買わないちょっと上のビールを買って、 お気に入りの海外ドラマを用意するから、 一緒に…

俺以外は地獄に落ちろ

部活の先輩とのレモン酸っぱい恋バナとか言う、 あんたの唇がリップよりも使い込んで擦りきれた寓話より 「鼻の中にタケノコが生える病気の話」を優先させたのは、 申し訳ないとは思ってるんだ 傷心旅行とかいう次の恋愛に備えたウォームアップで、 結果から見…

スースーする薬

帰りたくない、って言いながら時計を気にしている、 シンデレラシンドロームに付き合えるのは、 大人になりたくない、って言いながら 大人のお姉さんが大好きな、ピーターパンシンドロームの、 俺しかいない 会いに来る、来ないで愛情の量を量ったり、 過ご…

俺の中のデーモン

じゃあ、俺以外の妙齢の男で、誰が、 あんたのことを真剣に考えているのかを、 簡潔に伸べてから、泣くのを止めて、 さっきの暴力について謝ってもらっていいかな? そうだね、パパは除こうか。 妙齢って言い方が悪かったね、 年の近い男で探そうか? 男を探…

クソルーティーン

最近、体調が悪い訳じゃないけど、 ベイビー、君に言う「今日も可愛いね」の フォームが乱れているんじゃないか心配なんだ。 だから、検証に付き合ってくれないか? まず朝起きて、君と朝を迎えられたことにスキップで洗面所に行く。 次に鏡を見て、スリーショ…

ウインクのつぶったほうが見る景色

俺のハートがあんたには ダーツの的に思えてるみたいだけど。 その手でキュートな矢をいくらぶん投げても、 刺さり過ぎてパンクロックなハートから、 俺本来の汁が出てダメになるだけなんだ 上手くハートを射止めても、 ダーツみたいに得点なんて無くて「愛し…

サムズアップ

じゃあだよ、一体どんな毎日なら、 充実してるって納得すんの? あのラ・フランスみたいな顔をしたミス自己肯定感120%と、 別れる別れないだのを繰り返した十代も、 桃から生まれたようなヒップの土偶ちゃんに、 尊敬されるほど当たって砕けた二十代も、 夢…

Butterfly 夜の蝶

アルコールを飲む前に 「俺は絶対に酔っ払わないぞ!」って、決めたいんだ。 これをやらないから、毎回、何も覚えてないんだと思う。 みんなも協力して覚えておいて欲しいのに、 いつも「またか」って顔をされるけど、 俺のその日初めての誓いくらい、応援するべ…