アメリカを顎で使う女

なんでそんな顔をしてるんだよ

 

その恵まれたルックスと洗練されたファッションセンスで、

もっと皆からチヤホヤされるんだろ?

 

もっともっと注目されて、

ハリウッドがアメリカをアゴで使っていた時代の、

トップスターになるんだろ?

 

なんでそんな顔をしてるんだよ

 

まだまだ信じた道を突き進んで、でっかい夢を叶える途中だろ?

 

今のままでも十分輝いてるし、

夢おいに疲れたアンニュイな横顔なんて、

人を傷つけることなく錆び付いた

バタフライナイフのように趣きに溢れてる

 

さあ、まだまだこれからだろ?

 

あの頃のあんたはホットでクールで、

俺は見る度に固まって、いつだってとろけたんだ

 

あんたという生きているだけでラブソングのような名曲より、

最高のものを知ってるとか言ったら、

俺が嘘を覚えた証拠だよ

 

だからベイビー、

昨日も今日も世界が嘘をついただけだ、

 

本当のラブソングはあんたと共に生きていて、

あんたは今日も詩のように歌い、

メロディーのように生きるんだ

 

ああ、俺とベッドで愛のうたをデュエットしてた頃が懐かしいって?

 

あの頃の俺は、

あんたの高等テクニックに悲鳴を上げていた

悲しき凡庸の極みで、

 

メインもリードも張って活躍している

有能ソロボーカリストのあんたとは、

月とスッポンのアホ毛くらい比較にならなかった

 

その真剣な顔なんて初めて会った時から、

真夜中でも眩しくてしようがなかったよ