2022-01-01から1年間の記事一覧

平凡パンチ

ベイビー、あんたは俺を悪い奴だと言うけど、 今でもタツノオトシゴを飼いたいと思っているメルヘンボーイが、 そんな悪い奴なはずがないだろう? 諦めモードへの移行が早いなんて、 俺ほど誰彼構わずチャンスを与えている、 第二のイエスもそうはいないはず…

物欲のカタマリ

欲しい欲しいで日が暮れて 眠い眠いで目が覚めちゃあ、 寂しさで息が詰まらないかいベイビー? そんな時には、ラジオと棒寝だな。 無機質に通り過ぎていく洋楽の調べが、 棒になった自分を、世界とは無関係の舞台芸術にしてくれる。 それで、生まれる諦めと…

ブルーハワイ

夏が過ぎ去る夕暮れの、切ない匂いにあんたを思うと、 夜店の匂いや提灯が、かしこに浮かんで目に染みるんだ 一緒に行くのが当たり前だった頃が、目がジンジンほど懐かしいね 金魚すくいにワタアメに、脳内スケジュールを立てて、回ったけっけ 定番のイチゴ…

フィギュアを飾る部屋

嘘とか罠とか策略があったら純愛じゃないなんて、 誰が決めたんだいベイビー? 俺はいたって真剣に、 初めての嘘を飾り付け、出会いの夜に罠を張り、 ハートに策略を仕掛けて、二人の熱で溶かした純愛を、 ベッドにぶちまけたんだ その純愛で俺たちが愛し合…

サーロインバニラ

真夜中の廊下から寝室に入り、 ドアを閉じるまでの一瞬が、 永遠から一秒に変わる時 そのサーロインバニラ色の鳩尾に、 埋もれて眠るのが俺であったなら、 1日くらい社会に奉仕してもいい 美しい寝姿に見とれて、 その静かな寝息に合わせ、落ち着こうとする…

第二次クリスマス戦争

いいかい坊主、 神様だからって許してもらえないこともあるし サンタクロースでも、 クリスマスの日なのに許してもらえないことがあるんだ 昔、小学校のクリスマス会で、地獄のプレゼント交換があったんだ。 みんなが持ってきたプレゼントを、 音楽に合わせ…

エスメラルダ王女とエモーション伯爵

本当の大人は、知らないことは胸を張って 「知らない!」って言える。 くらいの勢いが、あんたにはあるね。 美点だし、チャーミングなストロングポイントだよ そんなあんたがベッドの中で 「SとMドッチ?とか言うけど、あれ何なの?」って、 聞くから、ちゃん…

静かなお説教

俺がカルト教団の 「ここが移住しやすそうベストテン」 を夢中で作っている時に、 あんたのことをまるで考えていないなんて、 傷つきやすい年頃なら、電話相談に走るシーンだよ? 誕生日の一週間前にプレサプライズでお祝いをして、 上手くいったから二人でベ…

綺麗な顔してるだろ?

あんたは俺が好きだといったが、 俺はあんたが真剣に嫌いだ あんたへの好意なんて、その目を覗いた時に、 俺を通り越したどこかを見ていた、 その視線に跳ねられて死んだんだ 俺の好意の顔を良く見てくれよ 綺麗な顔してるだろ?死んでるんだぜ? もう、好き…

純情選手権

そうか、また「どっちが純情か選手権」をヤル気なんだな。 よし!今日こそ、あの日あの時芽生えた恋心みたいに、 ハッキリさせやうじゃないか! ほら、もう俺の純情リードから始まった。 そうやって、俺の切れのいい純情ジャブから コーナーに逃げて、俺を迎え…

家族とうまくやるコツ

家で上手くやるコツは「家族に好かれようとすること」 って教えてもらって、 バカなのか?って即思いしたけど、 自分に家族が出来てやっと分かった オヤジはあれでも家族に好かれようとしていたんだ 流行りの歌をママへのラブソングにしながら 服を脱ぎ散ら…

年齢不詳のテキーラ

いっや、まさか、まさかね。 って神トラブルに見舞われた日は、 夕暮れにポーチで肘掛け椅子に揺られながら、 いつのか分からないウイスキーに、 俺が呑まれたいよ 爺さんも大体ドロのように玄関で潰れていたけど、 こんな気持ちだったんだ ベイビー、あんた…

立ち止まった足音

人生という、長いこの生活道路をあんたと走っていたんだ 俺は対向車線の向こう側に曲がろうとして、 あんたを含めた後続車両をどん詰まらせた渋滞を作って、 車が途切れたタイミングでやっと曲がったら、 あんたはそのまま真っ直ぐ走っていった 鮮やか過ぎる…

無駄な覚醒

あんたはやっぱり、失われたアトランティス文明ばりに、 俺のことをとんでもなく誤解している。 初めて会った時なのに、ボディータッチが多すぎたってベイビー? あの時は、とっても悪い奴があんたを狙っていたから、 俺はみんなに気付かれないように、身を…

シュレディンガーの猫

熱心というより、 それを取ったら居なくなるんだと思うほどの情熱が、 俺には心底羨ましくて、 傍にいられたらそれで良かったんだ 真剣に努力して自分と向き合っている、 その瞳が愛おしい。 俺といる時によく現れる、 駄目な生き物を見る眼差しとのギャップ…

毛深い女は情が深い

お気に入りの毛布一枚じゃ 夢さえちょっと冷える季節の変わり目には、 体が弱いあんたが病気になってないか、 たまに心配になる 俺がまだ、惚れてるとか勘違いはやめてくれ 今まで何人もの男と付き合ったと思うけど、 その全員が俺と同じ気持ちだろう まとも…

白Tシャツにジーンズの女

白Tシャツにジーンズが着られるのは才能だ、 給料何ヵ月分かのプレミアムな価値がある 俺は「Tシャツオブザイヤー」を贈るほど、 あんたのTシャツ姿にぞっこんだ そして、そのTシャツの穴から出ている全てのあんたに 「ありがとう」を言いたい 見るだけでいい香…

最後は嘘で終わらせて

横隔膜という、体にとって大切な物の痙攣を、 しゃっくりと言うのなら、 ベイビー、あんたが痙攣しているのも、 俺にとってはしゃっくりなんだろうな 喜びや悲しみに俺の瞳が出会うものが涙なら、 そういう気持ちの時にとても会いたくなるあんたも、 俺にと…

恋愛裁判 feat. 一生のお願い

有史以来、常に行われて来た「私のどこが好き」裁判が、 愛の終身刑を伴った私刑を従えて、今まさに行われようとしている 顔が選択された、場合 往々にして「もっとタイプの人が表れたら?」という、 タラレバ問題に発展して非常に面倒臭い スタイルが選択された…

恋愛タイプ別診断

あんたの恋愛は直接触れて感じるタイプのやつだから、 飾って楽しむタイプのあのイケメンとは合わん! って言ったんだよ 誰にでも合わせられるタイプの俺にしときゃ上手くいったのに 上手くいかないから次!次!っていう、 良く言えば「前向きなチャレンジ精…

明日やろうのバカヤロウ

俺はお前の友達だし、 そのお前が好きな彼女とも友達だから、 遠くに行っちゃう彼女を友達として見送ってもいいけど お前、今、彼女に好きって言わないで、いつ言うつもりなんだ? 道端に落ちている吸殻みたいにモテない俺でも、 今それが来ていることが分か…

二律背反

あんたが人前でキツ目のチューをするのが、 俺には1から7までの七不思議だった あんなもんは、二人だけの誠実な挨拶みたいなもんだろうに、 どこでもぶっぱなしていたら、俺のトリガーが、まず壊れるよ そうなんだわ、あんたには人前のチューと、 二人だけ…

大人になったら

えらい大人になりたかったんだ 友達のママみたいに、料理が上手で優しくて、 お手伝いをしたら「素敵じゃない!」って褒めてくれる、 立派な大人になりたかった あいつのママは勉強を教えるのが上手くてさ、 俺も褒めて欲しくて、良く遊びに行ったよ 俺もあん…

切なさを超えて

あんたもその仲間なんじゃないか?と疑っている 「ゆるキャラ」のイベントに行って、 イタチめいたキャラを見ながら「イタチごっこだね」 って言ったけど、どういうつもりなんだいベイビー? 何べん名トレーナー風に言い聞かせても、 俺の部屋の前でビッグなトイ…

最強のオス達

うちに住んでいる親父と俺と犬のバンチョーという、この最強のオスたちの中で、 俺など何一つオヤジとバンチョーに勝つことはないと思っていた運命が、 今、変わろうとしている 我が家で一番最初に飯にありつくのはバンチョーだ、ママのお気に入りなんだから…

アンガーマネジメント

アバラが折れていると診察された前の晩、 あんたがどうしても食べたいというアイスクリームを 俺に買いに行かせたことは、そんなに怒ってない こみ上げてくる痛みが、パシられたおかげで 「そんな訳ない、パシられるくらいなのに痛い訳ない」 って、思えたんだ…

ツチノコ委員会

始まった。ついに始まった。 「昨日の夜電話したのに、出なかった。 更に折り返しも無かった審議会」が、 二日酔いの勢いで、自白に追い込まれそうな早朝に、 始まった。 知ってる。 ベイビー、あんたが腕を組んでいる時は、 怒っている時か、これから怒るぞっ…