第二次クリスマス戦争

いいかい坊主、

神様だからって許してもらえないこともあるし

サンタクロースでも、

クリスマスの日なのに許してもらえないことがあるんだ

 

昔、小学校のクリスマス会で、地獄のプレゼント交換があったんだ。

 

みんなが持ってきたプレゼントを、

音楽に合わせて回していって、誰かのが当たるやつ。

 

あの頃は、生徒の生活環境なんてゴキブリよりも

市民権が無かったから、

全員プレゼントを持ってくるように命令されるだけだった。

 

その中にメジャークラスの大貧民がいて、

そいつは新品じゃない鉛筆2本を、

チラシで包んできてた。

 

ママに言えばもう少しまともな物を買ったと思うんだけど、

あいつはそんなこと言えないぐらい貧乏だったんだと思う。

 

だって、ズボンのベルトはロープだったし、

ずっと服が同じだったもの。

 

それで、そいつの貧乏チラシプレゼントが

音楽に合わせて回ってくるのが、

みんな怖くて顔がひきつってた。

 

クリスマス会って名前の割に、エンタメの要素がまるで無いよな。

 

最終的にチラシの包みを受け取ったのは目立たない女子で、

葬式みたいに代わる代わるみんなから慰められてたけど、

そこにいた全員が、クリスマスにする顔じゃなかったのを今でも覚えてる。

 

って話を「なんでプレゼントが無いの?」って

目を丸くしてたベイビーにしたんだよ。

 

そりゃあ盛り上がって朝まで飲んだから、

プレゼントの件は過ぎ去った過去だと思うだろ?

 

でも、俺はこれから、

ベイビーとの第二次クリスマス戦争に行かなきゃいけないんだ。

 

ああ、そうだな、無事に帰れたら、

故郷に戻って猫でも飼って喫茶店を開くよ。

はは、なんて分かりやすい死亡フラグだろう

 

いいかい坊主、

クリスマスなのに許してもらえないことが、

世の中には沢山あるんだよ