平凡パンチ

ベイビー、あんたは俺を悪い奴だと言うけど、

今でもタツノオトシゴを飼いたいと思っているメルヘンボーイが、

そんな悪い奴なはずがないだろう?

 

諦めモードへの移行が早いなんて、

俺ほど誰彼構わずチャンスを与えている、

第二のイエスもそうはいないはずだ

 

それに、友達んちに行って、

そいつの彼女がエプロン無しで料理を始めた時、

デリバリーを頼んでおいた俺の名采配には、

みんな感謝しただろう?

 

泣きそうになっている彼女と目を合わせず、

何も言わずにいた優しさもナイスだと思ってる

 

俺の趣味が悪いって、バカいっちゃいけない!

俺のベイビーはあんたなんだぞ?

 

それはミュージックビデオでよくある、

鏡を素手で殴ってるのと同じだよ?

 

ただ、平凡で眠たくなるような例えや、

クソつまんないギャグで、みんなから冷め困った顔で見られる時に、

心臓のブザービートを感じもするんだ

 

「そんなの、最高にホットな美女が目の前にいるのに触れない、

 みたいじゃないか!」的な平凡な例えをして、

盛り上がっていた会話を、

静かに失速させるのが趣味でもある

 

そんな時って、みんな困った感を覚らせないために、

顔を隠すみたいに触るんだよ

 

そうだよ、ベイビー

これが俺の必殺、平凡パンチ

 

ほらね、ベイビー

あんたも、顔を隠すように触るだろ?