「白百合からの便り」

商店街の賑やかな店で、あの日のぼやけた輪郭に重なるあなたを見つけた

人への接し方から相変わらず心根の優しさが伺え、
誰からも好かれる笑顔は宝石のように磨きがかかっていた

 

あなたと同じところに暮らして毎日を過ごし、
同じ未来を見ながらも時にはケンカをして、
言い合い仲直りをして抱き合って、
かわいい子供達に恵まれて幸せに満ち足りた世界もあったでしょう

そんなことを夢見させてくれるほど、
お互いに愛を交わした過去を受け入れて昇華し
現在に満足している顔をしていましたね

切ないけれど当たり前という現実が貴重な時を刻んでいきます

 

最後に交わした言葉は別れの挨拶では無かったけれど、
あの時お互いの未来を祝う気持ちが感じられなかったら、
美しく年老いたあなたにもう一度迷ったかもしれません、
それほどにあなたは私にとってかけがえの無い眩しい光でした

 

今ここで再びあなたがずっと幸せであることを祈り別れの言葉に変えよう

過去にも未来にも感謝しまた出会うことがあればまた祈ろう

互いに手を取り合って人生の日陰と日向に向き合い、
愛と希望がほころばないように擦り合った、
思い出の中でも未だ輝き続ける友であり恋人よ