「運命を探す人」

砂を運んで水を吸わせて、その砂を別のところに運んで水を絞る

 

毎日、毎年、同じことを繰り返し続けて、
野生のものならとっくに狂ってしまうほど、狂気に馴染んでしまっている

 

偉大な人物にも成れた、有名な絵描きや裕福な実業家にも成れた、
なのになぜこの運命に選ばれる者に成ったのだ

 

若い時分にしっかりと道を考えて進んで行くような、
解りやすい生き方は性に合わないから、
刺激や一発逆転を望んで似たような輩と競い合った

 

本当の自分という幻想はいつから願望になったのだろうか?

自分探しの旅はどこから旅だけになったのか?

 

あらゆる運命が用意されていたのだ、私のために

そしてその全てを吟味し幻想を求め旅をしたのだ、運命を投げ出してまで

大したことでは無いし良くあることでも有る、

だからこそ世界には私のようなものが溢れているのだ

 

向こう側でさっきから私を見下しているが、

君が見ている私は君ではないのか?