「地獄から地獄まで」

海も山も建物もずっと遠くまで焼け爛れていて感動すら覚えている

看板が無くてもここが地獄だとすぐに分かるし、

誰ともすれ違うことが無いからもう戻ることは出来ないのだろう

 

ここに来るまでの分は生きている間に全部聖書で払っているからお釣りは無いし、
執着を含めて愛情は忘れてきたし、
特にこれといって悩ましい女神様も信仰していないから、
この先のことを思う歓喜の泡立ちが、静脈に打ち込んだ麻薬以上に極まっている

 

賢い脳みそ共が天国の存在について議論し、

神への祈りを捧げるたびに存在理由の無い天国へ

『あなたのためなら何でもします』という募金がなされている

あぁ、どこにでも送り付ける自己主張が醜く、命を賭した自己犠牲が美しい

 

世界的に有名な刺激を司る性の神様だって恥じらうくらい

地獄からの優先席で来た奴らは裏切りにこだわりが無いし

地獄までの超特急で行く奴らは叫びに羞恥心が無い

 

しかし、この先からは怠惰のペナルティー
強欲ボーナスといったハンディキャップが無く一本道が繋がって、
地獄から地獄までが直通だから大変便利になった

 

待ち時間が減った分は悲鳴の調べに耳を傾け、

募金箱から戴いた札束を丸かじりしながら、幕が上がるのを待つとしよう