「雨に濡れた言葉」

激しい雨が窓を叩き、雨音が静寂に代わって部屋を覆ってしまっても

あの日の君の声だけは今でも聞こえている

 

雨に濡れた君の香りが鼻腔を貫き、君を慕う心が暴れ回るのを近くで見ていた

どうにもならない気持ちは知らない振りをするしかない、
それは互いに同じ気持ちであっても蓋をして、聞こえない振りをするしかない

 

しかし君は、自分の気持ちに決着をつけることにした

あの夏の前の長い雨を舞台にして

 

街角というにはあまりにも寂しい路傍で、
どうにもならない気持ちをぶつけ合い、
何をしたって上手くいかない行く末が容易に分かった時、

君の言葉が雨に濡れていた

 

その言葉は永遠に乾くことはないが、いつまでも消えずに残り続ける

あの日の君の声は今でも聞こえている