愁いというしかないくらい、西向きの窓から入って来る
焦がれた秋色の光に心なしか溶けてしまいたい
落ちてはまた舞い上がるような浮遊感と、
胸の鍵穴から漏れている光景が重なり、
一回、また一回と瞬きの回数が永遠の時間に似て長くなる
ああ、あれがまだ見たことのない存在で、
虚像のように潰れて伸びては幻影で語り、
そのゆっくりと降りてくる光の輪がこの風景の輪郭を消そうとした瞬間、
ハート型の十字架は完成する
熱狂的な芸術の祝福を受けながら降臨する止まったままの世界に、
神々への推薦の声が渦巻いて轟音となって鳴り響けば、
この身を慈愛の洪水でやつすほどに憧れた、
その振る舞いを真似ては微笑み、真似ては目を閉じる
ああ、その呆れるほどの逞しい美しさで、瞬時に薙ぎ倒してくれたら、
鮮やかに広がっていく憧れの傷痕を心配することなく諦められるのに
祈っては綴った気持ちの分身も、ため息の数だけ漏らした苦い旋律も、
予定調和で狂った短い関係も、焦がれた思いに比べるものはない
失くしてしまった世界の中で、敵うことの無い包容力にひざまづき、
柔らかな胸に抱かれながら、
知ることの無かった神をも恐れぬ口移しの任命式に、
体が内から震え、甘い道徳にはぜていく