本能が交わる時

 

目の前に現れた完璧な死を前にして、ネズミはもっと早く知るべきだった

己の驕りがもたらした、生存にしがみつく本能の薄まりを

 

嗅いだことのない極めて危険な臭いに、知識ゆえの好奇心を昂らせ、

逃げ道も用意せずに足を運んでしまった

 

なぜ未知の探検が上手くいき、また賢くなれると思っていたのか?

 

頭にチクチクと警戒を告げていたのは、今までの生き残りに貢献してきた本能だった

中途半端に納めた知識に頼り、本能を無碍にしてしまった

 

そして、今、その本能が告げている

助からないと

 

そして、不意に完璧な死を運んできた無知な猫は、ネズミを見ながら、

ただ、本能に任せて爪を振れば食べ物にありつけるという確固たる自信があった