ささやく使従

 

 

一人で落ち着くはずの心地好くこしらえた寝床でも、

毎夜ささやき問いかける

さ迷って熱い体内のとても小さな箱に、

数えきれない欲望を詰め込もうとする

 

眠りと食事と異性を欲して、

惰性のままの睡眠に、血の滴るような食べ物や、美しい滑らかな体を

瞼の裏に想い描き、ただダラダラと欲望を赴くままに走らせる

 

どこまで行っても叶わぬ規模で、際限なくもっと新しくさらに良いものを、

大きな快感を箱に詰め込もうとする

 

外にある快感など元から入る隙はなく、

この体内にお前が巣くう限り、入っても燃え粕しか残らないのに、

またささやいている

 

「あれは君にとって太陽だ

 だが、あまり近づくと体を焼かれ

 見続けると目も焼かれる

 でも暗い所は嫌なんだろう?

 もっと光を浴びたいんだろう?」

 

快感との共存を勧め、適量を促すお前との共生など叶わないのに

共に歩んでいかなければならない使命を、いつ投げ捨てられるのか?

 

お前が私を見ているとき、私はようやく世界から光を浴びている気がする

 

私がお前を見つめる時、お前はひどく居心地が悪く闇の中に隠れている

 

だから私はいつもお前に背を向けて、見えないお前を見ようとするが、

そこには何もいないから、ささやくように問い掛けている