「白雪ヶ原」

敵として最後に対峙したのは、せめてもの別れのつもりだろう

ありがとう友よ、お前と同じ時代に生きて良かった

 

属するものが異なり、主義や主張が変わったが、

お前の強さは私が良く知っている

 

蜘蛛のようにしたたかでツバメのように素早いお前に

適うものなどいないだろう

だがそのくせお前の優しさは独特の温もりがあり、多くの味方を魅了した

私もいつまでもお前と共に戦いたかったが、ここでお別れだ

ありがとう友よ、だからもう振り向くな、こっちを見ずに行ってくれ

 

この戦乱の中でいくつもの剣を浴び、もう立ち上がることは叶わない

しかし私の心を折ったのはお前の剣であったのが最大の救いだ

ありがとう友よ、だからもう泣くな、振り返らずに行ってくれ

 

出会った時と同じように、強烈な熱気を帯びた眼差しで、

私が憧れた強さのまま、強いままで行ってくれ

さようなら友よ、だから前を向いて笑ってくれ