敵として最後に対峙したのは、せめてもの別れのつもりだろう
ありがとう友よ、お前と同じ時代に生きて良かった
属するものが異なり、主義や主張が変わったが、
お前の強さは私が良く知っている
蜘蛛のようにしたたかでツバメのように素早いお前に
適うものなどいないだろう
だがそのくせお前の優しさは独特の温もりがあり、多くの味方を魅了した
私もいつまでもお前と共に戦いたかったが、ここでお別れだ
ありがとう友よ、だからもう振り向くな、こっちを見ずに行ってくれ
この戦乱の中でいくつもの剣を浴び、もう立ち上がることは叶わない
しかし私の心を折ったのはお前の剣であったのが最大の救いだ
ありがとう友よ、だからもう泣くな、振り返らずに行ってくれ
出会った時と同じように、強烈な熱気を帯びた眼差しで、
私が憧れた強さのまま、強いままで行ってくれ
さようなら友よ、だから前を向いて笑ってくれ