さようなら異国の友よ

 

 

あなたのその大きな手に師事を受け、技術の鍛練に励み、

作った物を他者の喜びとして糧にする毎日を過ごせたら、

あての無い長い旅からは解放されるだろう

 

しかし、あなた自身も自己との統合という長い旅を続けていて、

私と同じく背負った荷を投げ出すことは決してない

 

目を瞑っても出来る些末な仕事さえ上手くいかず

己を自分の奴隷と思う日もあれば、

成した仕事の一欠片ずつが綺麗にはまり快感に震える日もある

 

気の持ちようとはいえ、この気持ちがあるからこそ血の通った仕事ができ、

最愛のものたちに感謝しながら床に着くことかできる

 

そしてこの気持ちがあなたと私の心を繋いでくれて、

戻ることのない時間を美しい想い出に育んでくれる

 

またあなたの顔に会うこともあれば、

もう二度と見ることもないかもしれない、

それほど我々は単純に自分の仕事に生きている

 

だから、この出会いを喜んだ気持ちを大切にして、

晴れやかな心で別々の道をまた進み、

互いの幸せと仕事の実りを祈り、別れの言葉としよう

 

さようなら異国の友よ