あんたの過ぎ去った受難を聞いて涙が出るまでには、
太陽は俺から一番遠いところまで登っていたけど
そこまで付き合う俺はやっぱり
あんたには駄目だけど似合ってるんだと思う
最高級に仕立てた「避妊は神への冒涜だ」って
プリントTシャツが体のラインにはまっていて、
信仰心のカラーが生き生きと映えている
確かにあんたが食べている目玉焼きの中心には、
神様はいないだろうけど、
命に感謝しながら焼き加減を確かめる強欲っぷりに、
背筋から寒気がする
しかし、初めて会った日の「甘い甘い香りの星から来ました」
なんて自己紹介は、今でも最高にビールとデザートに合う殺し文句で、
あの日から甘い体臭と、飲み干して転がっているアルミ缶を
見ない日は無いんだな
だから、懐かしい話しなんて持って来ないでくれ、
あんたと俺が笑えたら罪でも罰でもいいんだ
あんたの口から聞きたいのは
俺の名前だけで十分だ
普通に生きている奴が羨ましくて、
妬んで、真似て、盗んで、捨て去って、
また思い出して引っ張り出して、
俺たちは何にでもなっちまったけど、
二人のテーブルにはまだまだ載せられるスペースがあると思ってるのかい?
宗教感にデザートに、そのつぎはなんだろうね?