大好きな人と会う前に聞いていた歌
近くの道路を走る車の音
生活音に紛れている虫の声
背伸びして付けた香水と、風呂上がりの爽やかな匂い
ちゃんとしなくてはいけないという気持ち
別れなど考えることが出来なかった、夏の前の夕暮れ時
全てを捧げても何も戻らないことは分かっている
分かっているのに何度も何度も夢に見る
もう一度だけでいい、
もう一度だけ同じ時間に同じ場所で会えたら、
また同じ過ちを犯すとしても、
ただ会いたい、会って謝りたい
もう随分と会っていないが、
私の夢の中では、あなたも私もごめんなさいとありがとうが
言えるようになっており、年を重ねた容貌や、
やり直すという選択肢の無い関係性に、
夢だと確信しながらも覚めることの無いように傍観する
ただ、甘く、涙が出るほど甘い思い出に、呆然として、
またあの日のように、時の過ぎゆくままに身を任せる