「空になったグラスから捨てて往け」

この一杯を飲んだら、始めようか

 

勝負なんてやる前から分かっている

強さとか名誉を賭けるんだろ

だったらもう俺の勝ちだな

失う地位も明るい明日も無い

掛け金なしで最大限にふっかけるさ

正義なんて守るに値しないくらい

なーんも持っていないんだから

お前にゃ重圧しかない

俺にゃ好物しかない

 

それにしても、あれからどれぐらい来たんだ

仲間はひとふさの葡萄よりもいたはずだが、

俺が最後の一人になっちまった

 

俺たちは使い捨てのグラス

中身は違っても用途は同じ

割れたら命がこぼれて、欠けたら修理もできない

輝いている中身もあれば、最初から澱んだのもいる

 

新しい奴が来ているが、お前が俺の代わりか

良い面構えだ、どんな仲間でも迷いなく死地に行かせる目だ

そうだお前が指揮を執れ

俺はもうすぐ命が全部出ちまうし、昔ほどもう一杯じゃない

 

あぁ、そうだそれで良い

空になったグラスから捨てて往け

先に地獄で待ってるぜ