ひと気が絶えて久しい部屋に自分の呼吸だけが響く、
だが1人、ねじくれた想像力の影から顔を覗けて、
極彩色の鎧を纏うあからさまな敵意が「寄越せ」と言う
滑りやすい股関でうろチョロしている奴には永遠に分からんのだよ
この「寄越せ」が何なのか
老いていく過ちや若さと引き換えにした成功といった【時間】なのか、
恥じらう結晶の乙女や匂い立つ曲線の美女のような【欲望】なのか、
物なのか奉仕なのかそれとも全てを「寄越せ」なのか、
分からんのだよ幸せな君たちには
太陽が昇る頃には身支度を整えて社会と繋がり、
太陽が沈む頃には暖かな巣に戻るような、
生温い暮らしを送る者共には永遠に分からんのだよ
他人の命というべき積み重ねの紅玉をずけずけと「寄越せ」と言う強欲が、
欲しいとねだるその物が何なのか?
ちゃんとした頭では分かるはずはないんだよ
こいつは巣食うんだ、だらしない生活に、
他人を認めず嘲りながらも妬む心に、しっかりと根を張って、
汚い心臓をくわえこんでそいつ自身になってしまうんだ
だから憐れんでも無駄だ、強欲で妬むしか出来んのだから、
憐れんでも応えないんだ、
時を省みることなく人に感謝することなく「寄越せ」と言い続けるのだよ
君がそっぽを向けば、
こっちをずっと見ている
君が知らん顔をすれば、
ジリジリと近づいて来る
君が攻撃すれば、
喜んで迎え撃ってくる
そして君が静かに自分の内面を覗く時、
やっとこっちを見てくれたと嬉しそうに微笑むだろう