「出会えたはずの別れ」  

 

さあ飛んでいけ、もう戻ることのない時間と共に

 

輝いた未来だけを見つめて、その夢で出来た翼に太陽を背負い、

どこまでもどこまでも飛んでいけ

 

そうだ、だから、飛び立つ前の迷いの中に見ていたんだ

多くの気持ちを生んだ出会いや別れを、

記念日や些細な帰り道にくれた心を揺らすあの笑顔を、

それだけあればやっていけると誓った言葉や愛情を、

 

たまゆらに切ない気持ちに揺れてはまた、満ち足りた気持ちに揺れる、

宣告までの猶予を和やかで穏やかに過去と踊っていた

 

あぁ、懐かしい匂いのする風が吹いて来る

 

空間に手を広げ透明なままの世界と手を繋ぐ、

ゆっくりと捕まえて、覚悟と一緒に柔らかく放つ、

懐かしい、そして愛おしい新しい世界よ、

この心の中まで染み渡って内部から光となって、

鋭く、鮮やかに溢れる感情のままに解き放ってくれ、

 

その時、私たちの心は時空を超える

 

いつでも新しく始まる、見えない光の旋律に合わせて、

恭しくひざまづき無数の愛を求める

 

この限界を緩やかに押し退ける包容を受けて、

ありふれた世界では出会うことの無かった、

出会えたはずの別れにも、少し目を伏せて優しくサヨナラを告げて、

飛び立っていく