寒椿

心臓を凍らせようとする冷たい風が吹き付ける中を、

真っ赤な椿のような頬をした君が歩いている

 

青白い手を祈るように揉みながら歩き、

白く神聖な息を吐く君をみていると、

呼吸をしているのを忘れるほど、

君を見つめることに気づく

 

永遠の一瞬の中で、君だけを見つめて無になってしまう

 

しかし、自分の呼吸に気づき、自我に引き戻され、

また神には成れずに君を欲してしまう

 

ああ、いつか体を失くし、骨になって君を見つめる時には、

君の髪は白くなり頬も皺だらけになっているだろう

 

それでもやはり、その君を見る時には、

もう息など出来なくなっていることを忘れ、

歳を重ねた君の美しさに没頭してしまうだろう

 

時の流れに、物や体は変わっていき

巡る季節に、花は枯れ、人も変わっていく

 

だが一人を思い続ける気持ちはあせることはなく、

本当の愛の形はいつまでも変わらない

 

いつまでも君を探し、君を思い過ぎて、

君を忘れてしまうほど、君を見つめている

 

だから、そんなにも愛しい君の手を、

どうか暖めさせて欲しい