この世界はどこかにある完璧な世界を投影した、
粗くて汚れた世界なんだという
完璧な世界では生きる意味も死ぬ理由もちゃんと決まっていて、
誰も迷うことがない
だから概念などなく、真理だけが存在している
愛も命も全て理由があり完璧な答えがあるから、
完璧な毎日を完璧なものたちが過ごしている
ここはその完璧な世界に憧れて作られており、
全てが真似事だから、誰も答えなど無く、
生きるとは何かを考え、様々な概念を持って成り立っている
時の嵐に振り回され、
人生など分からないなりにも誰かを愛しては満たされ、
大切な人を失っては涙したりする
未だに我々は
人間とは何か?
ブタとの違いは何か?
命とは何か?
にも答えが出せず、
生まれ落ちた日から喜びや悲しみといった感情の波間に漂っている
そしてこの感情で誰かを好きになって恋に落ち、
1度しか点かない命の火をありったけ使って自分の小さな幸せに全てを捧げ、
荒々しい炎となって燃え尽きる
完璧なものたちはこの愚かしい泥臭さを憐れみ、
時には火の中に飛び込む虫を見るように、
羨望さえ覚えるのかもしれない、
この世界の愛が真似事でも、命の長さでそれを超えるなら、
それならそれで良いのだろう