温もりを感じながら眠りの国へ落ちていく、当たり前の日常に違和感を覚え、
記憶の葉脈や未来の想像図をたどり、実物の自己という存在に問い掛けている
答えはない、あるのは暗闇だけ
意味はない、あるのは無情だけ
自分を中心に据えてこの世界を眺めても、
自分が端役として成り立っていることは明白だ、私の存在など無に等しい
そして、良く分かったことがある
誰もが主役として振る舞っているこの世界は、
私達に飽きていて、私達の誰にも興味がない
だからこそ誰もが自分は特別なのだと思っても世界の方は応えず、
努力や才能が大きな顔をしているのだ
世界が主役として愛する存在がいたとして、
その影すら我々には感じられないということは、
もうそんな存在はいないという証明だろう
この世界の主人公は、私が存在する前にもう死んでいたのだ
終わった物語の続きですらない、存在すら価値のない世界で、
不満のない不自由のない暮らしをして、その存在理由のない身でありながら、
世界に違和感を覚え問い掛け続けるなど、なんて憐れだろう
しかし、そんな私を憐れんだ世界は「世界を変える」という素晴らしい機会をくれた
私はある朝にその機会があったことを確信して目が覚めた、
莫大な喪失感に苛まれる目覚めがそれを告げていた
私は世界が与えてくれた機会を断ったのだ
この世界から抜け出せるという大きな転換を諦めて断ったのだ
しかも長いこと迷った挙げ句、
今のぬくぬくとした柔らかな日常を手放すことが出来ずに断った
何の物語の続きでもないこの世界を選んだのだ
そして何よりも、何よりも情けないのは、もう終わった物語の中で、
まだダラダラと生きながら自分の存在理由とやらをまた考え、
この世界から相手にされないのに生きていかなければならないのだ