「交わらない線」

好きになったのも嫌いになったのも君からだった

僕は別れにも付いていけなかったから、
大事なとこがずっと抜け落ちている

 

新しい季節が始まって、出会いも別れも始まっているのに

僕はその大事なところが終わっていないから、
どこにも進めないでいる

 

君はいつも賢明で力に溢れ、

世界は自分のものとして当たり前に主人公の道を進んでいた

その強さに魅かれ信者のように近づいたが、
僕には話すべき言葉が無かった

その鮮明な光りに憧れながらも君のことは何も分かっていなかった

 

後を追うほど時間を浪費し、釣り合わないことを忘れたくて頭に言い聞かす

でも気を抜いた時に君との関係は空っぽで何も持っていないことを知る

深く、なお深くどこまでいっても互いに独りなんだと知る

 

君の持っている約束されている未来と、

僕が持っている居心地の悪さは、
どこまで行っても平行線で交わらない

 

どこかで覚悟を決めない限り、いつまでも物語は終わりなく続いていく

奪うか去るかを決めないといつまでも終わらない

だから、君はちゃんと決着を付けた

僕には出来ない賢明な速さで

 

身近な人の成長を願うなら、安易に手を貸してはいけない、

力の有る者は弱い者を見守る義務があると言っていた

 

しかし、力の無い僕に終わりを任せてくれたなら、

僕も成長出来たかもしれない

君との別れに何か見出せたかもしれない

君が最後に君らしくない身勝手さを見せてくれたことが、

この物語の成果なんだろうか

 

君から最後の別れの言葉を引き出して受け入れることが出来ていたとして

今と変わらない現実世界で僕の中身が成長していて何になるんだろう

次の恋人探しが楽になったり、

分かったような顔で誰かに君とのことを「経験」だとか言うのだろうか

 

毎日、堂々巡りを飽きずに続けて分かったことは、

どんなに互いに魅かれ合っても分かち合えないケースがあって、

たまたま君と僕はそれだったということくらいで、

後は何というか賛同してくれると思うけど、

もうどうでもいい