悪魔的小悪魔

全く何も分かってない

青空の下でウェディングマーチを合唱する

擬人化のカエルくらい何にも分かってない。

 

そんなんだから、

体という履歴書に書いたチャーミングポイントである、

鼻の下のエロボクロを甥っ子にナイナイされそうになるんだよ

 

もし俺が翼の折れたエンジェルなら、

手を無理やり羽に変えて乱気流を乗り越えてでも

張り倒しに行くね

 

さっきからヘラヘラ笑ってるけど

「バカにされてるのに笑う」までが、

地獄とワンセットなんだよ?

 

悪魔が生き返るとかいう映画に怯えてるけど、

あいつらに命的なもんがあったら、

それこそ悪魔じゃない証明じゃん

 

生き返ったんなら人間だし、悪魔のような悪い奴だよ?

いや、生き返れたんなら悪魔的ラッキーだけどね

 

何が言いたいかったら、

俺が悪魔的に守っている、その笑顔やタメ息に一喜一憂しない、

テレビや同僚の話しなんか真に受けないで、

悩んだら俺の言うことだけを信じたらいいんだよ

 

いつでも困ったら俺の名前を呼んで、

駆け付けた俺の言う「可愛いね」や「愛してる」を浴びて、

いつもの小悪魔に戻ったらいいんだよベイビー

 

 

肌色の太陽

分かるよベイビー、おれだって憧れるもの

「昨日は他人、今日は恋人」だなんて、

お口の恋人ってフレーズよりも、

キング、オブ、ミラクルだ

 

そうだ、偶然なんだろ?

 

そのお互いの大事な肌色の部分が触れあってるのも、

ちょっとした弾みだろ?

 

親戚のおばさんがフラれた従姉を慰める時に使う

「野良犬に噛まれたと思って」とか、

独身同士を無理やりくっ付ける時に使う

「天井のシミを数えてたら終わる」みたいな、

人生ゲームのもらい事故だろ?

 

そうだよ、グリニッジに言わせりゃあ、

太陽が毎日昇るのも偶然なんだから、

そんな些細な佐々井さんの憂鬱なんて、

今日の千分の一コマにも満たないさ

 

なんてったってあんたは俺にとっての太陽なんだから、

偶然に偶然がサンライズしてもおかしくない

 

でも偶然やめましたってことで、

太陽が昇らないとどうなると思う?

 

まるで、あんたをなくした俺のように全てが凍りつくんだよ。

 

 

バンジーを飛べない君へ

俺は最近、勇気について考えるんだけど、

心の強さなら俺たちの愉快な仲間、

飛べないバンジー野郎、お前の出番だ

 

忘れもしない小3の時、

皆の秘密基地にあった一番高い木から、

急にバンジーをやるって言い張って、

結局は飛べずに泣いたまま、

仲間うちのお前の評価だけがバンジーしていった、

落ちっぱだったけど

 

それでついたあだ名がバンジー

飛べない奴にバンジーなんて、

子どもながらに気がきいてる

 

あの時、何で急にお前がバンジーしようとしたのか?

ガキだったから考えなかった

 

そうだなバンジー

あの事件からお前は本当に勇気を持って生きていった

 

恐ろしい先輩にもちゃんと意見するし、

間違ったことはおかしいって言える奴だった

だから、どこでもうざ可愛がられた

 

俺は最近、聞いたんだけど

昔、バンジーの父ちゃんの会社で事故があって、

作業していた人が何人か亡くなったんだってな。

 

それでバンジーの父ちゃんはその事故の責任者だったから、

事故の責任を取って飛ばされた。

 

そんでその時期が、お前がバンジーするって言い張ったあの時だ。

 

お前はバカだけど、勇気があったから、

どうにかオヤジさんを応援したかったんだろ?

 

お前が泣いてたのは、飛べないのもあったけど、

悔しかったんだろ?

 

今になって思えば、

オヤジを勇気づけたいなんて熱いハートを持った奴には、

バンジーってあだ名がピッタリだよ

 

それで今、なんの因果か陰謀か、

バンジーはその会社に入って、

オヤジさんがいた現場の部署にいるんだよな

 

そうなんだ、俺は最近、勇気について考えるんだ。

 

息子が自分の会社の、

事故があった部署に入るって聞いたときの、

オヤジさんの気持ちって、どんなんだろうって。

 

オヤジさんがいた部署に入るバンジーは、

何を思い、そして何を心から追い出して

そこに入るんだろうって。

 

きっとどちらも、強い心と勇気がいると思うんだ。

 

俺は昔からバンジーの友達だし、

いつだってお前が強い心で頑張ってたことも良く知ってる。

 

お前はバンジーを飛べなかったけど、

ここぞってチャンスには勇気を出して、

可愛い彼女も捕まえたよな。

 

バンジーみたいに長いスパンで勇気について考えて実行できたら、

あんなに綺麗なお嫁さんが出来るんだな。

 

って、クソ長いスピーチしようと思うんだけど、どうかな?

 

 

GF&DS

俺たちのクラスの流行語グッファ、デュクシーン

を発明したのはお前だと、

俺はここに宣言する。

 

広めたのは違う奴かもしれないし、

自分が考えたと手を上げたのも違う奴だが、

発明したのは絶対にお前なんだ

 

俺はあの言葉が生まれた瞬間に立ち会ってるんだから。

 

グッファはリアクションに使える便利な言葉で、

驚きも落胆も表現可能という汎用性の高さから、

ウイルスみたく瞬く間にクラスに広がり、

全校を飲み込み、地域まで巻き込んだ

 

オヤジとママがグッファに感染したのは分かるが、

親戚のオジサンまで感染していたのは、マジでグッファだ

 

強い気持ちを表わすデュクシーンは、

友達からのいじりを止めたい時、

冷え込んだ空気をチェンジしたい時、

心を奮い立たせる時に使えるという、

ジョーカー的な性能から、一気にまた広まっていった

 

こいつは両親までは浸透しなかったけど、

転んだ小さい子が涙を拭いてデュクシーンしたときには、

グッファ再びだった

 

そうだよ、お前がずっと好きだった子にフラれて、

笑いながら俺たちのとこに戻って来た時に、

ずっと好きだった思いが涙になって溢れて、

やっと絞り出した言葉がグッファだった

 

バカだな、本当にバカだよ。

お前の良さが分からないなんて、見る目がない

 

それで、泣くだけ泣いて、もう全然大丈夫だからってやったのが

デュクシーンだったよな

 

あの頃はダラダラしてたけど、今考えると心が一生懸命だった

毎日が熱かった

 

端からすれば、だから何?だけど、

そんなこと言われたってどうでも良かったんだ

 

あれから随分たつけど元気でやってるか?

今じゃあ毎日がグッファの連続でも、

もう全然デュクシーンできる俺だよ

 

またいつか会えたら、一緒にデュクシーンしようぜ

 

 

太陽童貞

俺がこの世をクソだと思う理由なんて、

世界一有名なネズミが「やあ!みんな僕だよ」って

自己紹介した回数くらいあるんだ。

 

そして、毎日毎日、雨だの雪だの竜巻だの、

もういい加減に晴れ、そしてそよ風で一生回ってくれよ

いちいち天気なんかに合わせてられるかよ

 

って、あいつが言ってましたよ神様、

ってチクりたくなることなんて、

引っ込み思案なハリネズミのハリくらいあるんだ

 

ああ、ベイビー

 

もう見慣れ過ぎて、落ちてきても驚かないこの天井を見上げて起きて、

昨日のバーボンが胃のなかで二日酔いのパーキングチケットを寄越すとき、

爽やかな朝の光を受けた天使の微笑みで

「おはよう。どうして欲しい?」って、聞いて欲しいことなんて、

生まれてから今まで受けた理不尽の数だけある

 

でも「誰しもが理不尽に耐えているんだ」なんて、

大人らしい考えを持ちながら、

その大リーグ並みのボインに埋もれて、

ハローなワークにハローって言わない

ワガママよりの自己主張を通すことも

「太陽を見るのは今日が初めてだ」って思うぐらいあるんだよ

 

 

ロジカルチャンピヨン

ロジカルな説明でピアスの穴が開けられるくらい、

ロジカル大好きっ子のあんたが言う、

胸のモヤモヤについてだけと、

それはただの消化不良って言うんだよ。

 

説明のつかない気持ちとか良く使ってくるけどね、

今、俺に話してるのって何なの?

 

テレパシーなの?テレパシーとロジカルって仲悪そうだけどなあ。

って言うもんなら、真面目にダダをこねるという、

ロジカルリンチが待っている

 

上司や同僚とかいう生き物の様子が今日はどうだったとか、

昨日のドラマがかなりいけてご飯が進んだとか、

いつも高ぶったり落ち込んだときに説明つかないみたいだけど、

それ人間の世界では「感情」って言うんだよ、ロジカリーナ

 

あと「イケメンとすれ違う時に運命を感じたがる癖」は

大体の女子が持ってるから、

誰に話しても表面上は共感が得られないんだ

もう少し、人との距離感を大切にした方がいいんじゃないかな、ロジカリータ

 

あとさっきから考えてるんだけどさ、

ロジカルチャンピヨンの君が普通にテレビを見ながら聞き流してる、

謎の三角定規についてだけど、それはただの三角定規だよ、ロジカリーヌ

 

 

バンチョーが教えてくれたこと

俺は「一人っ子だから」ってメジャーな理由で、

バンチョーって名前の犬を飼ってもらったけど、

色んなことをバンチョーから教えてもらった

 

まず犬の口は臭い

バンチョーが毎朝、俺の顔をなめ回すから、

俺はちゃんと顔を洗うようになった

 

次に犬はアホだ

バンチョーには鬼教官のように躾たけど、

子犬の頃は俺の部屋の前に

ビッグなトイレのプレゼントをやめなかった。

物理的な手の汚れなんて洗えばイイって、

軽く覚悟することができた。

それに俺は掃除を覚えたよ。

 

そして、犬は全てを破壊する

どこの反社会的カリスマをリスペクトしているか知らないが、

靴までビリビリに引き裂かきやがる。

電話線をちぎっていた時には、ママも怒りで震えていた。

俺は物を大切にするようになったし、片付けるようになった。

 

犬は言葉が分かる

ママが家で俺に怒っている言葉を発した時は、

俺が家に帰る頃になると、バンチョーは窓のとこから顔を出して

俺に警報を出してくれた。

小さい頃は良く話し相手にもなってくれて、

バンチョーは話さないけど会話は成立してたな。

俺は他人を信頼するってことを覚えたよ。

 

犬は人の心が読める

これは本当だ、人間でも出来ないのに。

オヤジが傷ついている時や、俺がいつものようにフラれた時は、

バンチョーは何も言わずに悲しそうな顔をして、

寄り添っていてくれた。

「もう泣くな」ってなめてくれたけど、

俺と同じくらい俺の涙の味を知っているはずだ。

お前はいつも慰めてくれたな、悪いなバンチョー。

 

犬は老いる

あんなに元気の塊だった毛むくじゃらも、

はしゃがなくなって、目が悪くなり耳も遠くなる。

だから、近くに寄って話しかけたり、

驚かさないように気を使うってことを覚えた。

俺は、じいさんや婆さんにも、気を使うようになれたよ。

 

犬は死ぬ。これも本当だ。

命の大切さを学ぶとか高尚なこと言うけど、

そんなんじゃなく悲しいんだよバンチョー、

大切な友達がいないんだ。

 

お前のことを忘れたくはないけど、思えば思うほど辛くなる。

 

受け入れるとか、乗り越えるとか、

アニマルセラピーの先生がアニマルを失った俺に色々言うけど、

そんなことしてもお前は戻らないじゃん?

 

まあ、お前は友達がすぐに出来る奴だから、

そっちの世界でもう友達を作ってて寂しくはないだろう。

俺もお前を通して出来た友達もいるし、

ずっとお前のベスフレだから、

お前が恥ずかしくないように前に進むことにするよ

 

うちも「一人っ子だから」って、

今ではマイナーな理由でダンチョーという犬を飼ってる。

 

ダンチョー、今度はうちの子に色んなことを教えてくれ。

また俺に教えてくれてもいい、友達として