あなたがどうしてもと言うから、
私は他人に開くことのない自分のドアを開け、
あなたを長いこと待っていた
夏の夜には風と共にやって来る、恐ろしい虫と格闘し
冬には凍りつきそうな冷気に舌まで震わせながら、
それでもあなたの帰りを待ち続けた
だが幾度も過ぎ行く季節にあなたが帰らないことを感じた時、
あなたを憎んで嘆き、恨みながら自分のドアを力の限り閉めた
そうやって入った自分の家の中には、
あなたではなく別の美しい人がもう入っていて、
私を慰めてくれた
その美しい声で私を励まし、柔らかな手を繋いで私を包んでくれた
私はその美しい人のために家を直し、部屋を飾り付け、
その人がくれた多くの美しい物の名前を、一生懸命沢山覚えた
今までの憎しみを全て流してしまうような幸せな日々に、
自分の過去を疑い、ことあるごとに神に感謝した
そして幸せなある日、あなたは私のドアの前に立っていた
「ただいま」の一言もなく、やり直したいという申し出もなく、
あなたは私を虜にした優しい瞳で、申し訳なさそうな佇まいで立ち尽くしていた
そして私が愛したあなたなら、そうするであろう潔さで、
私の幸せを祈り、悪い噂が立つ前にいなくなってしまった
私がドアを開ける前に、
あなたは私のドアを開けもせずに、私の世界から消え失せた
そのあなたの祈りが私のドアの回りを美しい花で飾り、
私と大切な人の家の回りまで祝福で柔らかに覆ってしまった
私はやっぱり、あなたが憎い
私と一緒になることのない、
私のものにはならない、あなたが憎い