誰も居ない部屋の冷えたビール

誰も居ない部屋の匂いには慣れてるけど、

あんたがここから居なくなった時の部屋の匂いには、

耐えられそうにない。

 

考えてもみてくれ、誰も居ないのにドアを開けて「ただいま」を言うことも、

今なら耐えられる。

 

あんたは、今、居ないだけで、時間が経てば帰って来るんだから、

誰も居ない部屋で、

自分に向けた木霊になっても「ただいま」を言ってもいい

 

だけど、あんたがいなくなったら?

 

あんたがいるからこそ一人でも出来た、

そんな全てが「誰もここには居ない」って冷たい点検になるんだ。

 

俺はもう、寂しくて堪らない、もう何にもやらないよ。

 

怖いんだベイビー

あんたに俺が怖がりってバレたらと思うと、怖くてたまらないんだよ。

 

今、部屋の電話が鳴っている理由が、俺のクレジット関連への催促じゃなく、

あんたからの「今なにしてる?」って胸キュンが始まりそうな生きる希望なら、

蒸し暑いダイナーでキンキンに冷えたビールのように、ぐっしょり濡れて喜ぶのに。