夜空の花束

始まっていない夏祭りを後の祭りに変えられるほど、

あんたのノープランノーライフな生き方には俺だって憧れた。

 

あんたは力こそパワーの完全版で、誰もが手放しであんたを受け入れ、

どこでも通用した思い出が、あの頃の俺たちのコラボアルバムだ。

 

あんたの華麗なノープランが、皆にも俺にもハイリターンだった時は、

仲良しチームも上手くいってたけど、

リスクがリターンを超え始めた辺りから、

あんたの祭りは冷めていき、始まることも無く終わっていった。

 

初めて一緒に見た花火を覚えてるか?

 

あんたは皆の気を引くためにバカ騒ぎのリーダーをして、

途切れながらに見る夜空の花束を「綺麗だ」って言ってたけど、

あの花火にはちゃんと伝えたいビジョンがあって、

それに沿ったプランもストーリーもあるんだよ。

 

作り手と受け取り側の関係にも、一貫した物語があるんだ。

 

あんたが俺との将来を考えて、未来を見てくれていたなら、

俺はあんたとの関係にビジョンを持って、ストーリーもこしらえた。

 

今でも同じ部屋に住み、二人が笑ってる世界だってあったかもしれない。

 

今、なにしてるんだベイビー?

元気でやっているのか?

 

あれから祭りにも花火にも行くことはなく、

あんたがもうどこに居るのかも知らないけど、

あんたと一緒に見たあの花火が、俺には一番綺麗だったよ。