怪談が聞きたいのに「一番恐ろしいのは人間だ」とか(なら最初から聞かねえよ)
って落ちを付ける恋人との、些細なズレを楽しめるかどうかを、
今問われているんだ。
やっと漕ぎ着けた最終戦のために、ここまで暖めてきたパンツを脱ぐ勇気を、
まさか台無しにするんじゃないか?という疑念が、
優しい彼を見る度に沸いてくるんだろ?
約束のあまーい期待満載の夜に、
誰かの仕事をカバーするといったドタキャン連絡や、
初めての夜に映画を見ながら寝落ちし、
起きた後もご飯を食べてお話しをして帰るという、
大人のオモチャにも劣るその性能のどこに惚れ要素があったんだい?
ベイビー、俺なら、
そこの工事中をお知らせしている人形を持って帰って大切にするよ
文句は言わないし、メシダイもいらないし、
好きなときに気兼ねなく捨てられる。
恋愛の軸がズレているとかより、
「一昨日来やがれ!」って台詞が使えるチャンスがあるってことしか、
彼に生きている価値はないと思うんだ。
夏のクっソ暑い1日終わりに、
コジャレたレストランにドレスコードで行って
「とりあえず赤ワイン!」「私も!」って乾杯して、
あんたが納得できるなら、それでもいいけどね。