あれから何度目か数えてない夏が終わる。
今、どこで、どんな顔をしているか知らんけど、
俺は今でもお前といた夏を思い出す。
約束が無くても遊ぶのが当たり前だったから、
日課になっているお前んちに行き、
いつもの駄菓子屋でお菓子とジュースを買ってから、
海まで自転車2ケツで夏を引っ張って釣りに行った。
海に降りていく長い坂道で聞こえる、
暑さを吹き飛ばす風の音が最高にロックだった。
失われし時を告げる天からの風?だったっけ?
お前のそういうとこが最高だった。
帰りには地獄の登り坂を登り終わったとこにある自販機のオアシスで、
一緒に炭酸をグッと飲んで、オッサンの真似を「くーッ!」ってやって、
下らない話をしながらお前んち行ってゲームをした。
どの女の子がカワイイだとか、
マンガのキャラやこの先の展開だとか、
昨日見たテレビだとか、
色んな今思うと夢が詰まった話をした。
俺もお前も大したこと無かったし、持ってる物もちっぽけだったけど、
二人で合わせたら何でも面白かった。
もう真似しなくてもビールを飲んだら
「くーッ!」ってやるオッサンになったけど、
お前も「くーッ!」ってやって、毎日を楽しんでるか?
あの夏、お前が俺に教えてくれたように、
下らない話をしながら笑えているか?
お前が人生の楽しみ方を教えてくれたから、
俺は今でも毎日が楽しみだ
明日の自分も、この先の自分も、
自分のこれからが楽しみでしょうがない
お前がいなくなって何十回目の夏が過ぎるけど、
毎日を噛み締めながら生きているよ。