不意に風があなたに似た臭いを運んで来ると、
あなたに身も心もすり寄っている体の芯が嘆き乱れ、
私はあなたに逆らえる気がしない
図らずも豊かな肢体を惜しみ無く見せつける、
そのあなたを見る視界に直接匂いかけてくるその色香に、
私は逆らえる気がしない
手を出しそうになる本能を寸でのとこて正気に戻し、
太陽の下でだけはひきつりながらも適切な距離を保っていられる
しかし、いつでもあなたを思い出すと、体の中心が沸騰して滲んでしまう、
あなたと早く二人きりになろうと焦る心が不道徳に思え、
その体に触りたくてたまらなくて、
どうしようもなく溢れて、滲んでしまう
あなたの欲望の芽をなで回し花を咲かせ、甘い蜜の中で果てたい、
あなたにずっと夢を見続け、あなたとの情事で目を覚まし、
あなたと離れればまたあなたに夢を見ている
あなたを前にすると、
私は今、生きているのか自信が無い
逞しい男女が汗にまみれて造り上げた大きな鍋に、
素っ裸の私とあなたを投げ入れて、愛も涙も世間体もひっくるめて、
粉々に砕いて練りに練って練り上げれたら、
その塊はどんなに満たされているでしょうか
今夜もまた、夜から風が吹いてくる
私はあなたに逆らえない